フォレストサイドハウスの住人達(その10)
12 フォレストサイドハウスの住人達(その10)(276)
鶴岡次郎
2015/02/02 (月) 15:36
No.2647

あまりに強い刺激を受けて、男も女も一気に頂点に駆け上がり、男は不覚にも精を吐き出していたので
す。由美子の放った尿の中で二人はほとんど気を失って重なり合うようにして倒れ込んでいたのです。
覚醒をした時、女はともかく50男である佐原には由美子に挑みかかる力は残っていませんでした。

シャワーを浴び、幸恵のガウンを借りて、すっきりした表情でソファーに腰を下ろしています。佐原も
シャワーを浴び、ガウンを羽織って由美子の真正面に座っています。由美子の衣類は水洗いをして乾燥
機に入っています。衣類が乾燥するまでの一時間余、由美子はこの家に足止めされることになります。
裸体にガウンを羽織った男と女が一時間以上同じ部屋にいることになるのです。

全身にけだるさを感じながら、挿入に至らなかった不満が二人のどこかに残っている様子です。裸体に
ガウンを羽織っただけの姿で向かい合っている事実も、二人の心をくすぐっていました。

男はお茶を飲みながら、自身の体力の回復状況を測りながら、仕掛けるタイミングをゆっくりと狙って
いるようです。女はゆったりと落ち着いた様子でお茶を飲んでいます。男が回復すれば何時でも対応可
能なようです。

「佐原さん・・・、
お隣の・・、そう・・、1614号室の住人とは親しいのですか・・」

「エッ・・、1614号室ですか・・・、
浦上さんの旦那さんとは、一、二度顔を合わせたことがあります。
確か、大手商事会社に勤めておられると聞いています。

家内は奥さんと親しくしているようで、暇を見ては浦上さん宅へお邪魔しているようです。それと言う
のも、家には子供が居ませんから、家内は浦上さんのお子さんをまるで孫のように可愛がっているので
す。

・・で、そのことが家内の家出と何か・・・」

「いえ・・、それだけ親しいのであれば・・、
もしかして・・・・、
旦那様の知らない奥様の昼間の顔をご存知かもしれないと思ったのです」

「そうですね…、
そのことには気が回りませんでした・・。

警察以外の方に妻の失踪を話したのは由美子さんと愛さんだけですが、
確かに、浦上さんの奥さんが何か事情を聞いている可能性はありますね・・
後で、この後で・・、
由美子さんと別れた後・・・、
事情を話して、何か情報をお持ちでないか確かめます・・」

貴重なアドバイスなのですが、あまり気乗りのしない調子で佐原が答えています。

「先ほどこちへ訪ねてきた時、廊下で隣の家から出てきた男の方を見ました・・、
あの方が旦那様ですか・・・・」

「ああ・・、あの方・・・、
あの方は、旦那さんではないですね…、
浦上さんはもっと若くて、身長が高い方です・・・」

佐原は廊下ですれ違った男のことを全く気にしていない様子です。