フォレストサイドハウスの住人たち(その8)
22 フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(210)
鶴岡次郎
2014/08/22 (金) 17:50
No.2571

佐王子の質問には答えないで、ゆっくりと千春が立ち上がりました。そして、少し後ずさりして、
テーブルから少し離れたところに立ち、彼女の全身を佐王子に見せつけています。その表情から彼
女の意図は知ることはできません、茫洋として、視線は宙を漂っているのです。佐王子は黙って千
春を見つめていました。

ゆっくりとワンピースの肩紐を肩から外しました。最初に左肩、そして右肩、支えを失った布が肩
から滑り落ち、腰の位置で留まっています。ダイニングテーブルを照らす淡い光が女の豊かな胸を
浮き出させています。やはりNBです。

女も興奮しているのでしょう、男の視線を感じて、豊かな乳房が大きく、ゆっくりと上下に動いて
いるのです。大ぶりの乳房の先端にある黒い突起が明確に立ち上がっています。

女の手がワンピースを下へ一気に下ろしました、白いショーツも一緒に引き下げられています。全
裸の女が淡い光の中に立っています。慣れ親しんだ肉体を男はじっと見つめています。滑らかな胸、
張りのあるウエストライン、そして数えきらないほど交わったその部分、どの部分にも甘い思い出
が秘められているのです。欲情した時に発せられる特有の香りが女の体から発散されています。全
ての記憶が男の頭脳に蘇っています。

「主人の気持ちをありがたくいただかせていただきます。
私にとっては、これ以上の物は考えられないありがたい贈り物です。
ご存じのとおり、万事に行き届かない女ですが、よろしくお願い申します」

女はその場に正座して、両手を前にだして、深々と頭を下げました。つやつやとした女の背中と臀
部が男からよく見えます。

「俺との関係を復活することになって、
千春から俺やご主人への要求はないのか・・」

佐王子が訊ねました。

ゆっくりと頭を起こした千春が真っ直ぐに男に視線を向けて、やがてゆっくりと口を開きました。
形のいい乳房と魅惑的な股間の茂みが男の視線を捉えています。女は両手を膝に置き、絨毯の上で
正座しています。

「私は佐王子さんが好きでした。
いえ・・、今でも大好きです。
ですから、元の様に抱かれるのは正直言って、うれしいです。
でも、その半面、少し怖いのです…」

静かな、控えめの声で女が言いました。男は黙って頷いています。この種の話をする男女の会話に
しては、互いに恐ろしく冷静です。

「保さんとの関係を元に戻すに当たって、一つだけ申しあがておきたいことがあります。こちらか
らお願いしておきながら、いろいろ条件を付けるのは本来してはいけないことだと言うことも良く
判っています。しかし、このことだけは、はっきりしておきたいのです。もし、佐王子さんがこの
ことを約束していただけないのであれば、今回の話は私から断りたいとさえ思っています・・」

真剣な面持ちで千春が語っています。全裸の女が恥じらいを見せないで、求道者のような表情をし
て真剣に語る姿には、不思議な魅力があります。その道の専門家である佐王子にとっても新しい発
見であるようで、熱い視線で千春を見つめています。

「佐王子さん・・、良いですね…?」

何も反応を見せないで、うれしそうにただ千春を見つめている佐王子を見て、その態度を咎めるよ
うに、千春が返事を催促しています。