フォレストサイドハウスの住人たち(その7)
7 フォレストサイドハウスの住人たち(その7)(171)
鶴岡次郎
2014/05/19 (月) 10:59
No.2526

姿勢を改め、春美は真正面から千春を見つめています。その昔、仕事上で失敗した時、今のような
表情で見つめられ、叱られたことを千春は思い出していました。

「いいかい、これから先、二度とそんなことを言ってはダメだよ、
千春は素晴らしい女だと、女の私だってそう思う・・・。
とってもスケベーで、女の私には時々鼻に付くことはあるけれど・・、
これだけは確信をもって言える・・、
ちょっと悔しいけれど、どんな男だって千春に惚れると思う・・。

佐王子さんだって、千春の価値を認めているから、
自信をもって、千春の秘密をお婿さんに話したのだと思う・・。
それで逃げ出す男なら、千春にはふさわしくないと思ったのだよ・・」

「良く判らないけれど・・・、
今、先輩が言った内容と同じようなことを佐王子さんが三郎さんに言っていた」

「そうだよ…、
変に卑下した考えを持ってはダメだよ…、
たくさんの女の中から、千春は選ばれたのだから・・、
自信をもって、お嫁に行ってほしい…。

千春が大威張りでお嫁に行くことを佐王子さんは願っているのだよ、
そして、千春を選んだお婿さんだって、
いつまでも千春が過去の悩みを抱えてくよくよするのを望んではいない・・。
そのことを絶対忘れてはいけないよ…」

「判った…、過ぎたことはくよくよ考えません・・。
これから先のことだけを考えて、いいお嫁さんになります…」

「千春・・・」

感極まった春美が涙をあふれさせて、千春を抱きしめていました。


式までまだ時間があるので、春美と千春はお茶を飲みながら、のんびり話し合っています。

「前の奥さんとは死別したと聞いてたけれど・・」、

「うん・・、素晴らしい人だったようで、
彼女の死後、ショックで、彼・・、女の人を抱けなくなっていた・・」

「そう・・、男の人にそのような現象が出る話、時々聞くね・・、
女性にそんな症例が少ないところを見ると、
男性の方が繊細な神経を持っているのかな・・、

それで、そちらの方はどうなの・・、
まさか、今でも出来ないってことはないのでしょう…」

「ウフフ…、それは大丈夫・・、立派にできるよ、
でも、出会った当初は少し心配するほどの症状だった…」

「それは、良かった…、
千春が彼を立ち直らせたのだね・・
・・で、どうなの…、
彼で満足できそうなの…」

特別の意味を込めて春美が質問しています。