フォレストサイドハウスの住人たち(その7)
13 フォレストサイドハウスの住人たち(その7)(177)
鶴岡次郎
2014/06/02 (月) 14:12
No.2534

親子ほど年齢が違う千春に、夫人は性の悩みを訴えかける少女のように話しています。千春は彼女
を励ますように夫人の手を握りしめていました。

「事が事だけに他人に相談することは勿論、主人にさえ話すことができないのです。経験の乏しい
女二人で対策を練るより他に術はないと思い込んだのです。探せば、そのことに詳しい人だって
見つかったはずですし、医者に相談することだって出来たはずだけれど、そうしたことを他人に相
談すること自体、タブーだと私たちは思っていたのです。

こうしてあなたと仲良くなれて、あなたがその道にかなり経験が深いことを知りました。もし、
もっと早く、千春さんと知り合っていれば、私たち親子の人生は変わっていたはず・・、
なんて・・、およそ現実離れした思いさえ、抱いてしまったのです・・・。

おかしいでしょう・・・、
それほど私たち親子は世間知らずだったのです・・」

ここで夫人は天を仰ぎ、あふれ出る涙を隠しました。あまりの可憐さに、許されることなら夫人を
抱きしめたいと千春は思いましたが、遠くからこちらを見つめる二人の男、塚原氏と三郎の目を意
識して、千春はその思いをぐっと堪えました。

「二人で出した結論は、三郎さんのモノが異常に大きくて、処女のまま結婚した理恵には容易に受
け入れられないということでした。

大きいと言っても、どの程度大きく、どんなに努力しても理恵には無理なのか、慣れてくれば、何
とかなるものなのか、そのあたりをまず知る必要があると思いました。

彼のサイズを体で知っているのは理恵ですから、彼女の感覚を頼りに、ああでもない、こうでもな
いと、茄やニンジン、果ては大きな大根まで持ち出して、彼のサイズを探ったのです。ようやくこ
れに近いと言って理恵が指差したのが少し小ぶりのダイコンでした。正直、その大きさ、太さに、
私はびっくりしました。世の中にそんな怪物が存在することが信じられなかったのです・・」

〈・・そんな・・、大きいことは大きい方だけれど・・、
怪物と呼ぶほどのモノではない…、
あの程度のモノは、そこらにごろごろ転がっている…
理恵さんの感覚がマヒしていたのかな…〉

浦上のモノを思い出しながら、千春は塚原夫人の大げさな表現に驚き、内心で首を傾げていたの
です。

「女性の膣はかなり懐が深いことは知っていますが、理恵が指差した大根を見て、これは理恵には
勿論無理で、経産婦の私でさえも絶望的になってしまうほどのモノだと思いました。しかし、落ち
着いて考えると、そんな化け物のような男根がこの世に存在するはずがないことにようやく気が付
きました。そして、処女で結婚した理恵が初めて接した男根のサイズを正確に言い当てることなど、
もともと無理なことだと気が付いたのです。

初めて接した男根の異様な姿と破瓜の痛さのあまり、理恵は平常心を完全に失い、三郎さんのモノ
を過大評価したのだと考えました。そうと決まると、これ以上理恵に三郎さんのサイズを訊ねるの
は無駄だと思いました・・・」

夫人の下した結論に千春も納得した様子で何度も頷いていました。