フォレストサイドハウスの住人たち(その6)
6 フォレストサイドハウスの住人たち(その6)(136)
鶴岡次郎
2014/03/02 (日) 11:50
No.2485
2014/3/2 記事番号2484に一部修正を加えました。

千春は週に二、三度ほどのペースで客を取ります。千春の体調が悪い時や、どうしてもその気にな
れないお客が来た時は、千春は赤い札を受け取らないのです。佐王子とお客の関係はかなり強固な
利害関係で、良く言えば強い同族意識、信頼関係で、結ばれていて、彼らは佐王子の売春システム
を守り通すことを第一に考えていますので、千春がわがままを言っても、お客達は笑って引き下が
り、決して無理強いしない姿勢を見せていました。

お客たちは制服姿の千春を抱くことに執着します。通常は勤務が終わるとロッカーで私服に着かえ
るのですが、お客の予約が入っていると制服のまま店を出るのです。そんな時、千春は一切の下着
を取り払ってブラウスと紺のタイトスカートだけを着け、店の前で車を拾って、そこから数キロ離
れた指定ホテルへ向かうのです。ホテルの予約と支払いは佐王子の手の者が済ませているので、千
春はフロントでカギを受け取り部屋に向かいます。

部屋に入ると待ちかねていたお客が千春を抱きしめます。一日働いた女の体には様々な匂いや汚れ
が付いているのですが、大半のお客はシャワーに入る前の千春の体をほしがります。ブラウスとタ
イトスカートを脱がさないで、衣服をめくりあげて体を嘗め回すのです。下着がないことを確かめ
ると男たちの欲望に一気に火が付きます。

女をその場に押し倒し、ブラウスのボタンを全部外し、獣のように乳房にかぶりつくのです。激し
い痛みに耐えかねて女が大きな悲鳴を上げますが、男はその悲鳴を喜びの声だと勘違いして、さら
に強くかみしめるのです。うっすらと血がにじみ出るほど強くかみつくことも少なくありません。

スカートを腰までまくり上げ、女の両足をいっぱいに開き、男は足のつま先に舌を絡めます。視線
を芳香を放つ黒々とした股間の亀裂に向けているのです。男の舌はつま先から太もも、大腿部へと
進みます。そう若くない男たちはここで一気に攻めることを好まないのです。ゆっくりと攻め上が
り、女が喘ぎだすのをじっと待つ余裕を持ち合わせているのです。

大腿部を過ぎた男の舌はゆっくりと臀部を嘗め回し、香りがきついはずの菊座も丁寧に嘗め回しま
す。千春は男の舌がその部分を攻撃することを前もって知っていますので、使用後は何時も丁寧に
指を使って中まできれいに洗う習慣を身につけています。

男の舌がいよいよ股間を攻めます。ここに至るまでに千春は一、二度軽く逝っています。それほど
多くない陰毛を時々口に含みながら、男たちの舌は一番汚れた部分に到達します。この部分が男た
ちにとって、一番おいしい部分で、その香り、味、その蠢き、すべて生のまま賞味したいと男たち
は思っているのです。そのことを熟知している千春は使用後、この部分にはビデを使用しないので
す。丸一日下着に包まれていたそこは、野生のまま温存されているのです。そこは男たちが狂喜す
る芳香に包まれた楽園なのです。

むせびながら丹念にホール周りに舌を使い、男たちは泉から湧き出るかぐわしい聖水で喉を潤すの
です。この頃には千春はわけの判らない悲鳴を上げて、のたうち回っているのです。こんなになって
も制服を脱ぎ捨てることが許されません。
毎度のことですが、清楚な風貌の千春が一転して狂気の形相を浮かべ、四肢をいっぱいに広げて、
もだえる様は、男たちの征服欲をこの上なく満足させるようです。

頃合いを見て男の舌がホールの中にねじ込まれます。中には長い舌を持った人もいて、膣内に数セ
ンチ舌を挿入し、その中をかき混ぜる芸当をやり遂げる人物もいるのです。こうなると舌は第二の
男根と言えます。そんな男に巡り合うと千春は本物の男根を受け入れた時より、激しく感じるので
す。

一時間を超えて全身を嘗め回す男も少なくありません、中には、なめるだけで挿入に至らないで終
わる男もいます。どうやら、中年過ぎの男にとって、若い千春の体に付着した汚れや香りは、彼ら
にとってこの上ない精力剤であり、癒しの元になるようです。

性交そのものはそれほど濃厚なものでなく、正上位で挿入して、10分程度で完了するのが一般的
です。その都度精液を出す人もいれば、ほとんだ出さない人もいます。何度か千春を買うごひいき
さんにはゴムなし挿入を許しています。
千春の体を守る意味と、お客に悪い病気を感染させないため、佐王子の指示で、千春は定期的に指
定医院へ出向いています。ここで避妊処置と時に応じて洗浄等の治療も受けているのです。

ベッドの上で過ごす時間は長くて二時間ほどで、ことが終わるとシャワーを交互に浴び、持参した
私服に着替え、千春はお客と一緒に近くのレストランに出向き、遅い夕食をとるのが普通です。千
春は話好きでおしゃべりです。どんな人物といても会話が途切れることがないのです。これは千春
の隠された才能の一つだと思います。

中年過ぎの男にとって、若い女性、それも飛び切りの美人とたわいない会話を交わす機会など、ほ
とんどありません、実の娘との間でも会話らしい会話が存在しないが普通なのです。そのためで
しょうか、性的行為の後に待っているレストランでの会話が楽しみで千春を指名するお客もいるほ
どです。

お客との会話で必ず出る話題は次の質問です。最初からそんな質問をしてくる人は稀ですが、何度
か会っていると必ずその疑問をぶつけてくるのです。

「そんなに若くて、きれいで、その上仕事もできるのに・・、
なぜこの仕事をしているの・・?
お金のため・・?・・」

本気で千春の身を心配するお客が多いのです。お金が必要であれば出資をしても良いと言い出す男
も多いのです。

「・・多分この仕事が好きだからだと思います。
でも・・、本当に好きだからやっているのかと、聞かれると・・、
少し違う気がするのです。勿論お金がほしくてやっているわけではありません」

あいまいな笑みを浮かべてこのように返事するのがいつものことなのです。千春自身も自分の気持
ちが良く分からないようなのです。お店での戯れから客に身を任せるようになり、佐王子と出会い、
この道に本格的に入り込んだのです。気が付けば、すっかりその道に馴染んでいる自分自身を見つ
けて、動揺することもあるのです。ただ、この道に入ったことを後悔したり、この道から出ようと
思うことはないのです。やっぱりこの道が好きなんだと思う込むことにしているのです。

いろいろ思うことがあっても、ただ、一つ確かなことは、もし佐王子に出会うことがなければ、
もっと違う道を歩いていただろうと千春は思うのです。彼が居るからこそ、本業のシューフイター
の仕事を完璧にやり遂げながら、その陰で売春行為を楽しむことができていると彼への感謝の気持
ちを忘れたことがないのです。


こうして、千春と佐王子の仕事は二年ほど何事もなく続きました。勿論、千春の表の商売も順調で、
シュー・フイッターとしての千春の名前は業界で不動のものになっていたのです。@2014/3/2