フォレストサイドハウスの住人(その3)
20 フォレストサイドハウスの住人(その3)(64)
鶴岡次郎
2013/08/27 (火) 15:19
No.2395

カラオケ店で男漁りをしている時、加奈も悠里も遊びを盗撮されることに事のほか神経を使いま
した。浮気の証拠は一切残さないよう、男達のケイタイを受付に預けさせ、カメラや録音機を隠
し持っていないことを念入りに確かめていたのです。そんな悠里が佐王子に撮影を許しているこ
とが判ったのです。その事実だけでも悠里の佐王子への気持ちの強さが理解できます。聞けば聞
くほど、深みに入り込んで動けない悠里の立場が鮮明になるのです。やや気落ちした気分で加奈
は口を開きました。

「写真は危険だとあれほど申し合わせていたでしょう・・・、
どうして写真なんか撮らせたの・・・
彼が無理やり撮影したの・・・?」

「ゴメン・・・、
私が撮ってほしいと言ったの・・。

だって・・・、
二人でふざけている時、鏡に写った恥ずかしい姿を見て、凄く興奮したから・・、
二人が絡まっているところを撮影して、後で見ることが出来れば、
楽しいだろうって思ったの・・・」

「あきれた・・・、
・・・で、二人で見て楽しんでいるの・・・?」

「うん・・、
自分の乱れた姿を後で見ると凄く興奮するのよ・・、
一人でいる時でさえ、それを見て楽しんでいる。

それだけではない、私の恥ずかしい映像をテレビ画面に映し出して、
お客と一緒にそれを見ることもある・・」

加奈には隠さず、何もかも話すと決めている様子で、悠里は、むしろ楽しそうに話しているので
す。聞いている加奈が悠里の身を心配して不安そうな表情をしているのです。

「お客と一緒にいる時間は限られているから、出来るだけ早くことを済ませたいのだけれど、私
のお客は比較的年齢の高い人が多いから、若い人と違って、私のハダカを見るだけでは十分にな
らないのよ。それで、私の恥ずかしい映像を見せることにした。すると、それだけで興奮して、
私に飛び掛かってくるの、私もそんな遊びが嫌いでないから、乱れた映像を見ながら、お客の男
根を受け入れるのよ、60過ぎのおじさんが2時間の間に三度も逝くことがある・・」

「・・・・・・」

加奈はいささかあきれています。加奈の表情を見た悠里が慌てて、言葉を継でいます。

「ああ・・、心配しなくても良いのよ・・・。
お客の住所も、名前も、職業も正確に掴んでいるから、
お客の口から、秘密が洩れる心配はないのよ・・。

そして、その気になれば、いつでもその映像を処分することが出来るのよ、
加奈が心配するように、本当に危険なら、今度彼に会った時、
全部処分するように頼んでみる・・」

〈そんな簡単なことではないでしょう・・・〉

そう言いたい気持ちを抑えて加奈は悠里を睨んでいました。売春にしても、淫らな写真のこと
でも、悠里の受け取り方は楽観的過ぎます。悪く言えばあまりに幼すぎるのです。のん気そうに
話している悠里を見て、加奈は密かに決意を固めていたのです。