フォレストサイドハウスの住人(その3)
18 フォレストサイドハウスの住人(その3)(62)
鶴岡次郎
2013/08/24 (土) 16:08
No.2393

カラオケ店で男漁りをすることだって普通の主婦から見れば大変な経験ですが、そんな経験が子
供の遊びに思えるほど、悠里にとって佐王子とのセックスは刺激的でした。人生観から、着る物
の好み、そして食生活まで影響を受けるほど佐王子とのセックスは悠里に大きな影響を与えました。

元々セックスが好きでしたが、佐王子と知り合ってからは悠里の生活はすべてセックスを中心に
動き始めていたのです。

「その全てをここではとても言えないけれど・・、
これを言えば、多分加奈も私がどんな経験をしたか想像がつくと思う・・。

お尻を使うことはそれまでも何度か経験があったけれど、
本当のことを言って、その行為はそれほど好きでなかった・・。

ところが、私・・・、お尻でも逝くことを憶えてしまった・・。
いまでは、どちらかのホールに彼を受け入れて・・・、
片方のホールを指かデルドーで愛撫されることが普通になった・・

彼と過ごした一週間足らずの間に、私はスッカリ変ったと思う・・
着る物も、より露出度の高いものを好むようになった・・」

悲しい経験を話しているはずですが、悠里はうっとりと瞳を濡らし、むしろ誇らしげに話してい
るのです。以前の悠里ならとてもいえない禁句をすらすらと言っています。加奈は一ヶ月ぶりに
会った悠里に何かしら違和感を覚えていたのですが、それが何か判らなかったのです。今、悠里
の話を聞いて、悠里の変化の本質を正確に理解していました。多分男なら一目で判ったはずです
が、悠里の全身から発散される得体の知れない女の精気に加奈は違和感を抱いていたのです。

胸は少し多めに拡げられ、悠里が少し上体を動かすと、豊かな乳房の頂点近くまで垣間見えるよ
うになっているのです。白い脚を悠里が見事な仕草で組み直すと、スカートの陰から時折黄色の
ショーツが見えるのです。

「マンションのベランダで全裸を曝して抱かれたり、夜主人が出張で居ない時、公園で浮浪者に
見られながら抱かれたり、媚薬のせいもあって、私は彼に抱かれるためなら何でも厭わない気持
ちを持つようになっていた。

彼は決して無理強いはしなかった。全ての行為を私は喜んで受け入れていたの、勿論、いかがわ
しい行為に最初の内は慣れなくて、恐がっていたけれど、
直ぐに慣れて、積極的に彼の命令に従うようになっていた。

そうなの・・・、私は自分から進んで、彼の命令を受け入れる女になったのよ。
私は・・、とんでもなく淫乱な女なの・・・」

悠里の話は加奈の想像をはるかに超えていました。どうやら、悠里は佐王子の罠だと悟った後も、
彼から逃げられない様子なのです。理性や倫理観を超えたところにある至上の悦楽に身を任せる
道を悠里が選んだことを加奈はようやくに理解していたのです。

そこまで悠里を追い込んだ佐王子の力を知り、加奈は背筋に悪寒を感じる気分になっていました。
そして、一時は佐王子の体に溺れながら、その罠から逃げ出したわが身を、加奈は誇らしく思い
ながら、どこか寂しい思いを抱いていました。あのまま、佐王子の誘いに応じていれば、悠里同
様この世に存在する悦楽の頂点を経験できたはずだと、加奈は思っているのです。女と生まれて、
その悦楽の頂点を知らずに終わることへの複雑な感情が加奈の心の奥で蠢いていたのです。

悠里の告白はここで終わりませんでした。

「ある日、自宅へ佐王子さんが50歳過ぎに見える、見知らぬ紳士を一人連れてきた。どこかの
中小企業の社長で、身元がしっかりした男だと紹介された。

その日から、毎日のように、毎回違う男性を佐王子さんは連れてきた。

『一流マンションに住まう若い人妻・・・、
熟れた身体を持て余している人妻・・・、
そんな人妻を彼女の自宅で抱く・・・・、

旦那のいない寝室で、熟れきった人妻を抱く一時をあなたに・・・』、

それが、娼婦に成り下がった私のセールス用キャッチ・フレーズなの・・・」

むしろ楽しそうに悠里は話しています。

「数えてみると、これまで一ヶ月足らずの間に、30人近い男に買われたことになる。一日に三
人と交わったこともある。悲しいことに、私の身体は彼等の愛撫に反応して、いつでも、しとど
に濡れている・・。

加奈には正直に言う・・、
私は・・、身体を売る行為をそれほど嫌と思っていない。
このまま、私はズルズルと落ちるところまで、堕落していくと思う・・」

冷静に、加奈の表情を見ながら、笑みさえ浮かべて悠里は語っています。一方、あまりの話に加
奈は言葉が出ない状態です。