フォレストサイドハウスの住人(その3)
16 フォレストサイドハウスの住人(その3)(60)
鶴岡次郎
2013/08/21 (水) 17:15
No.2391

「彼に抱かれた後、体が疼いてたまらなくなり、
自分で慰めても返って余計たまらなくなり、加奈に相談したら・・、
加奈もそうだと判り、私達はそれまで守っていた禁を破って、
二日連続で彼に抱かれたでしょう・・。

あのカラオケ店の二日間で私は完全に彼の虜になってしまった・・・」

悠里の話に加奈が悲しそうな表情を浮かべ頷いています。加奈も悠里と同じ道を辿っていたので
す。途中で媚薬の存在を疑い始め、初めて佐王子の計略に気がつき、かろうじて佐王子の罠から
逃げ出すことが出来たのです。それでも、加奈は今でも心底から佐王子を拒否できないでいるの
です。言い換えれば、意識では佐王子を拒否しながら、彼に弄ばれた身体はその悦楽を良く憶え
ていて、どこかで会って、優しい言葉でもかけられれば、黙って彼に抱かれるであろう自身の弱
さを加奈は自覚しているのです。それだけに、悠里を責めることが加奈には出来ないのです。た
だ、話を聞くことしか出来ないのです。

「家事をしていても、買い物に出かけても、身体の芯が疼き、恥ずかしいほどアソコを濡らして
いた。元々、スケベな体質だと自分でも判っていたけれど、こんなにスケベだったのかと、自分
でもあきれていた。

正直に言います。どうしょうもなく、彼が欲しかった・・。
主人のことも、加奈のことも、全て忘れて彼に抱かれることだけを考えるようになっていた。

我慢できなくて、彼に連絡したら、彼は直ぐに応じてくれた。
どこかのホテルでと私は考えたのだけれど、彼は私の自宅へ来ると言った。
遊びで男に抱かれることがあっても、自宅へ男を引き入れることなど出来ない、そんなことをす
れば、いずれ取り返しのつかないことになることは判っていた。

それでも、私は・・、彼を部屋へ迎え入れることにした・・。

最初から女の部屋へ上がりこむのは、女を落とすための彼の戦略だと、後で気付いたのだけれど、
その時は、自由に外出できない主婦である私を思いやる彼の優しさから出た申し入れだと思って
いた・・」

悠里は静かに話しています。佐王子の計略に嵌り、そこからからうじて逃げ出した加奈は、悠里
の気持ちが誰よりも良く判るようで、時々頷きながら聞いています。

「ドアー・ベルが鳴り、彼を確認した後、私は着ているワンピースを脱ぎ捨てた。下着は最初か
ら着けていなかった。全裸の私を見て、彼は微笑み、抱きしめてくれた・・・。

その後のことは、今でも良く思い出せない・・・、

玄関で彼に抱きしめられ、息が止まるほど唇を吸われ、
彼の指で全身をくまなく・・、優しく撫ぜられ・・、
それだけで・・、私は・・、恥ずかしいほど濡れて、そして気を失ってしまった・・。

ソファーへ抱いて連れて行かれたところまでは覚えているけれど・・、
それから後、4時間、彼に翻弄されたのだけれど、何も覚えていない。
そして、ベッドの上で目覚めた時、彼の姿は寝室から消えていた・・」