フォレストサイドハウスの住人(その3)
13 フォレストサイドハウスの住人(その3)(57)
鶴岡次郎
2013/08/09 (金) 17:13
No.2387

「彼が出て行く後ろ姿を私はベッドの上から見送っていた・・。
疲労感と、それをはるかに越える快感で身体が動かなかった・・・。

彼が吐き出した精液を顔や胸に残したまま、私はベッドに裸身を投げ出していた。
彼の強い香りは、その時には感じなくなっていたけれど、初めて他の男を入れた寝室の中には、
部屋中に彼の香りが満ちていたはず・・」

加奈はそう言って笑みを浮かべて悠里を見ました。むっとした表情で悠里が加奈を睨んでいます。
男を盗られた・・、そんな表情なのです。

「30分以上私は恥ずかしい姿をベッド投げ出していた・・。
夕暮れ近くなり、さすがにこれではまずいと思い、起き出し、シャワーを浴びた。
バスタオル一枚を体に巻きつけてソファーに座り、冷たいお茶で喉を潤した。

その時、突然・・、猛烈に・・、彼が・・、いえ、男が・・、
ううん・・、アレが猛烈に、欲しくなった・・・・。
この疼き、悠里も覚えがあるでしょう・・、こんな時、悠里ならどうするの・・・?」

卑猥な笑みを浮かべて、悠里を覗き込むようにして、声を潜めて加奈が言いました。悠里は黙って
加奈を睨みつけています。口には出しませんが、悠里には加奈の疼きが良く判っているようです。

「身体は隅々まで綺麗にしたけれど、彼を受け入れた股間には、鮮明に彼の感触が残っていた。
そこが疼きだし、一気に泡を噴出していた・・・。
男の人だったら、こんな時ソープなどへ行くんでしょうけど、自分で慰める以外、女一人では何
も出来ないのよ・・。

私は股を一杯開いて指を使った。
キッチンから人参を持ってきて入れてみた・・。
とても他人には見せられない、情けない姿を曝して、私は必死で指を使った。
渇きは少し治まったけれど、もやもやした気分はどうにも治まらなかった・・」

その時を思い出したのでしょう、加奈は眼を細めて、明らかに欲情した表情を隠そうとしないの
で話しています。モワーッと女の精気が彼女の身体から立ち上がっていました。悠里が厳しい表
情で加奈を見つめています。それでも、悠里もかなり性的な刺激を受けているようで、両膝を強
くあわせて小刻みに脚を動かしているのです。どうやら、悠里自身も自身の体験を思い出し、股
間を濡らしているようです。

「いつまで経ってもアソコが疼くのよ、悠里も経験済みでしょう・・、あの感触。
こみ上げる情欲を必死で抑えながら、ようやく私はその異常な刺激に疑問を感じるようになって
いた・・。

『彼は・・、何か薬を使っている・・』

私が出した結論はこれだった・・・」

加奈の言葉に悠里は驚かないのです。加奈から視線を外し、床に視線を向けています。彼女の反
応を見て、加奈は自身の推理の正しさを確信していました。

「もう一度洗面所に戻り、膣を丁寧に洗浄した・・。
それでかなり興奮は治まった・・」

真正面から悠里を見詰める加奈の視線を眩しそうに悠里が受け止めています。

「薬を流しだし、興奮が治まると、彼への疑惑が湧いてきた。
それで、冷静に彼とのセックスを振り返ってみることにした。
その時は気がつかなかったいろんなことが見えてきた・・」

自信たっぷりに語る加奈です。悠里はただ黙って聞いています。