二丁目、フォレスト・サイド・ハウスの住人
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鶴岡次郎
2013/02/01 (金) 11:23
No.2310
しばらくお休みをいただいておりました。あまり長く筆を置くと書き出すのに時間がかかること
も判りました。投稿ペースが以前の調子に戻るまで少し時間がかかりそうです。ゆっくりと始動
することにいたしました。よろしくご支援ください。

今回は二丁目にある高級マンション、『フォレスト・サイド・ハウス』に住む女性を中心にした
物語を書いてみます。相変わらず、市民のチョッとした日常がテーマです。ご共感いただける部
分が有りましたら、コメントいただければ幸いです。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その
11)』の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきま
す。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字
余脱字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるよう
にします。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した記事を読み直していただけると幸
いです。

  ・ 文末に修正記号がなければ、無修正です。
  ・ 文末に(2)とあれば、その記事に二回手を加えたことを示します。
  ・ 1779(1)、文頭にこの記号があれば、記事番号1779に一回修正を加えたことを示します。
                                      
                                      ジロー

公園の男

三月のある土曜日、桜には少し早い時期ですが、日向に居れば暖かい日差しが心地よく感じられ
ます。日差しの暖かさに連れ出されて二丁目ににある『泉の森公園』に由美子がやってきました。
ここへは彼女の自宅から徒歩で10分程度で来ることができます。目下のところ由美子の周辺で
はこれといって事件は起きていないのです。それはそれでおせっかいな由美子には寂しいのです。

この公園の中央にはその名の由来になった地下水の噴出で出来た上がった周囲が500メートル
ほどの池が有ります。池を取り囲むように深い森が広がっています。午前10時を過ぎた頃で近
所の家族連れが集まってきて、池の周りはかなりの賑わいです。小さな子供たちが走り回り、休
日着姿のパパがその後を追っています。彼等の後から笑顔のママがゆっくりと歩いています。そ
んな光景を微笑を浮かべて見送っていた由美子の視線があるところで止まりました。

由美子の視線は池を取り囲んでいる森の一角に止まり、その一点を見つめています。大きく枝を拡
げた白樫の大木の陰に由美子の視線は向けられていました。そこには3台ほどのベンチが設置さ
れていて、日差しが強くなる季節には真っ先に占拠される人気スポットなのです。しかし、日陰
では少しは肌寒く感じる今の時期は敬遠され、そこには深閑とした影が広がっているのです。

由美子が眼を凝らすとベンチに一人の男性が・・、中年過ぎの普段着姿の男性が座っていました。

「彼・・・、今日も来ている・・・・」

密かに期待していたとおりの結果に由美子は満足しています。その男性を見るのは由美子にとって
初めてではありませんでした。

由美子はゆっくりと歩を進めました。5メートルほどに近づいた時、その男性は由美子に気がつ
きました。チラッと由美子を見て、それでも直ぐに視線を外し、池の周りで賑やかに騒いでいる
家族連れに視線を転じました。

迷いを見せずに由美子は真っ直ぐに歩きました。ほのかな女性の香りを嗅ぎつけ、男性が由美子
に再び視線を戻しました。由美子は一メートルの距離に近づいて居ました。

「スミマセン・・・、
側に座らせていただいてかまいませんか・・・?」

男性は驚きを隠しきれない表情で由美子を見上げました。

「ああ・・・・、
勿論・・、かまいません・・・・、どうぞ・・・」

男性は立ち上がり、由美子の手を取る仕草を見せています。由美子はニッコリ微笑み男性の体に、
彼女の身体を少し触れさせてベンチに座りました。立ち上がっていた男性は由美子の体に触れな
い程度に身体を寄せて、少し由美子に身体を向けるようにして、彼女に続いて腰を下しました。