一丁目一番地の管理人〈その28〉
30 一丁目一番地の管理人〈421〉
鶴岡次郎
2012/06/15 (金) 11:14
No.2248
2247(1)

これまで、これほど素直に男達との関係を朝森に話したことがありませんでした。それまでは、
朝森が認めた関係だったとはいえ、後ろめたさや、後悔の気持が敦子に覆いかぶさり、経験した
事実の半分も朝森に話したことがなかったのです。

今回は違いました。最初から敦子は全てを話すと決め、そうすることが二人の将来のためになる
と信じているのです。もし、朝森が敦子の話を聞いて、彼女を嫌いになるようであれば、それは
それでいたし方のないことで、それを事実と受け止め、次の成長への糧にして、修正すべき点は
修正し、改める所は改め、朝森との新しい人生を切り拓きたいと、敦子は前を向いて、覚悟を固
めていたのです。

半年あまりの露天商たちとの生活経験を通じて、敦子は彼等の生き方から多くを学びました。そ
の結果、好きな人には彼女のありのままを曝すべきだと敦子は考えるようになったのです。恥ず
かしい経験も、人並み外れた情欲も、そのすべてを夫に曝し、その上で敦子を受け入れて欲しい、
もし、朝森が嫌うようなら、何処が嫌いなのか、そのことを詳しく分析し、出来る限り、朝森好
みの女になるよう努力すると、敦子はけなげな覚悟を固めていたのです。

こうした気持ちを持つようになった背景には、この半年間の生き方を敦子は恥じていない事実が
あったのです。彼女は自身が大きく成長したことを実感していたのです。その気持が、その自信
が、彼女を強くしていたのです。

勿論、朝森も敏感に彼女の変化を察知していました。そして、結果として、全面的にその変化を
受け入れると決めていたのです。

「敦子・・・、
そこで勉強して、見事に成長したお前の全てを、僕に見せて欲しい・・・、

多分、狂うほど、やきもちを焼くことになるが、
それでも、敦子の本当の姿を見せて欲しい・・・」

「ハイ・・・・、そうさせてください・・、
私の全てを、あなたに見ていただきます・・。

でも・・、決して嫌いにならないで下さい・・。
あなただけを愛しているのですから・・・」

両手両脚で敦子が朝森に絡みつき、男の唇にぶら下がるようにして、激しく男の口を吸っていま
す。それからは、二人の間に会話は消え、ただ激しい息づかいが寝室に響いていました。


一年近い空白は敦子を大きく変えていました。以前は朝森の仕掛けに受身で応じることが多かった
のです。それが、朝森が途惑うほど敦子は積極的に仕掛けてきました。

自らネグリジェを脱ぎ捨て、男の身体から衣類を剥ぎ取り、ルージュの跡を残しながら、全身を
舐めまわすのです。唇から、首、乳首そして、男根を両手で握り、大きく口を開きそれを咥え込
んだのです。

両脚は毛深い男の太股を挟み込み、小刻みに腰を動かし、女陰を男の膝頭に押し付けているので
す。滴る愛液がシーツを濡らしていました。以前の敦子は決して進んで咥えることはしませんで
したし、男を喜ばせる意思を見せなかったのです。

今、竹内から、そして一流の業師たちから学んだ技を惜しみなく朝森に披露しているのです。朝
森は沸きあがる悦楽に身体を委ね、ただ感嘆していました。

挿入も女が主導して行いました。朝森の身体の上に乗り、大きく開いた両脚の間に男の身体を収
め、敦子は巧みに右指を動かせて挿入を果たしました。

女は上体を仰け反らせて、悲鳴を上げていました。明らかに以前とは異なる、かって経験したこ
とがない強い締め付けを朝森は感じ取っていました。そして、その快感の中で、敦子をここまで
育て上げた男達の影を朝森ははっきりと読み取っていました。それは、屈辱的な感覚であるはず
のものでしたが、今の朝森には快感を更に盛り上げる役目を果たしていました。

〈・・・竹内さん・・・・、そして、会ったことがない皆さん・・・、
敦子をよくもここまで育てていただきました。お礼申し上げます。
あなた方が育て上げた敦子を、大切にします・・〉 

朝森は心中でそう呟き、その直後、めくるめく快感の中に身を投げ出していました。同時に女も
悲鳴を上げて男の身体の上に倒れこんでいました。