一丁目一番地の管理人〈その28〉
29 一丁目一番地の管理人〈420〉
鶴岡次郎
2012/06/14 (木) 11:51
No.2247
2246(1)

しばらく唇を合わせていた二人が離れました。眩しそうに朝森を見つめる敦子に、男が微笑み、
口を開きました。

「中には、凄い男も居ただろう・・・」

「・・・・・・」

朝森の問いかけに直ぐには答えないで、敦子が悪戯っぽい表情を浮かべ、黙って朝森を見つめて
います。

「どうなんだ・・、黙っていないで教えろよ・・・、
凄い技の持ち主とか・・、
お前のアソコが裂けるほどの、モンスター・マラを持っている男も居ただろう・・、
ほら・・、なんて言うのだっけ・・、真珠を埋め込んだ人もいただろう・・」

「フフ・・・・、
聞きたい・・・?
居たよ・・、たくさん・・。

いいよ、全部話すよ・・、良い・・?
途中で気分が悪くなったら、そう言って、直ぐ止めるから・・」

これから先、露天商と暮らした淫らな経験談を夫に話す機会は今を逃すと、二度と来ない、この
際朝森に男達のことを話しておこう、敦子はそう思った様子です。夫、朝森の中に潜むM体質に
気づいたことも敦子の背中を押していました。

「片手ではとても指がかからないほど太い人とか、一度入ると引き出すのに一苦労するほどエラ
の張った人とか、中には、喉からそれが飛び出そうなほど長い人とかが居た。そんな人に抱かれ
ると、終わった後、揺れ戻しというのかしら、押し上げられた子宮が下がってきて、酷い痛みを
感じることになるの、それでも、懲りないで、私も含めて、女達は嬉々としてその長い竿を受け
入れていた。

貴方が言う真珠入りの男性器を、私達はイボイボ・チン子と呼んでいたけれど、現物を見るとそ
んな可愛い呼び方がとても似合わない、醜悪に近い様相を見せていた。初めてのイボイボチン子
と接した時、凄い姿をしていたから、かなり期待したのだけれど、私が鈍感なせいか、ほとんど
イボイボを感じなかった。見掛け倒しだった。

後で聞いたら、他の女の感想も私と同じだった。これは私の個人的意見だけれど、女のアソコは
イボイボを感じ取るほど敏感でないと思う。だから、かなり太いモノでも、慣れれば普通に感じ
るのだと思う。要するに男が思うほど、女のアソコは敏感でないのです。

サイズが標準でも、数時間硬度が衰えない人がいて、そんな人に抱かれると、何度も逝かされ、
最期には必ず気を失っていた。女達の評価はこの人が最高だった。

こんな風に、女にとってはここが天国に思えるほど、美味しい男が一杯いた・・。

ああ・・・、ゴメンナサイ・・・、
私・・、良い気になって、少しおしゃべりが過ぎました・・」

笑みを浮かべて聞いていますが、朝森も男です、なんとなくすねた気分になっていました。こん
な話題を取り上げなければよかったと少し後悔していたのです。朝森の感情をいち早く感じ取った
ようで、少し慌てた様子で、敦子が言葉を切りました。

「でもネ・・、私が言いたいことは、これから先が大切な部分なの、
気を悪くしないで、もう少し、聞いて下さい・・・」

敦子が頭を下げ、朝森が苦笑いをしながら頷いています。

「抱かれた男の魅力は・・、たとえそれが一時の浮気でも・・・、
女が良い男だと思う条件は、男の身体と技だけではないのよ・・・」

ここまで淫蕩な表情を浮かべて話していた敦子が、その淫らな笑みを鎮め、少し改まった調子で
話し始めました。

「私が会った組の男達の身体も、技も、それは紛れもなく一級品だった。
しかし、彼等の素晴らしさは、身体や、技だけではなかった。
何よりもすばらしかったのは、彼等の心だった。

私達、女のために男達は一生懸命尽くしてくれるのよ。遊び人の男が『・・美女は味が薄い・・』
と言うことがあるでしょう、それとおなじ意味で、凄い技や、凄い身体を持った男達はどうして
も、その魅力を鼻にかけ、女達を粗末に扱いがちだけれど、組の男達は違った。ただ、女に尽く
すことだけを考えてくれるの、心から女に尽くしてくれるのよ。

彼等のおかげで私はセックスの素晴らしさを全身に叩き込まれた。そして、セックスを楽しもう
と思うなら、その相手に、その瞬間はトコトン惚れぬくことが一番大切なことだと、実践を通じ
て彼らから教えられた。

だから、私・・、だいぶ変わったと思います・・・
身体の変化は勿論、気持の上でも随分と変わりました・・・」

真っ直ぐに朝森を見詰め敦子が説明しています。(1)